2008年05月23日

アルバイトは教訓が一杯! 「嬉し泣き」5

初めてアルバイトをしたのは11才の1月。
新聞配達。12才からしか応募できないが、4月生まれで12才にもうすぐなるからと所長さんに無理を聞いてもらった。

働くってのは思ったより大変で、雨の日や雪の日、風の日も休むことはできない。
考えてみれば当たり前である。配達ルートは新聞少年しかわからない。

もうひとつ辛いことがあった。配達の道すがらに「いじめっ子」がいたのだ。
「貧乏!」とか「○△×」などの差別用語や罵声を浴びせられ、石を投げられたりした。

それでも辞めようとは思わなかった。給料日に7千円ほど入った封筒を持って行くと、お袋が涙目で喜んでくれたから。
泣いているお袋にこう聞いたものだ。「悲しいの?なんで泣くの?」と。
お袋は「嬉し泣きやわ」と京言葉で言った。
私は「そんなんわからへん」と東北訛りの関西弁でおどけたものだ。

ある雨の日。何者かに自電車を倒され、カゴのビニールが破かれていた。
私はカッパを脱ぎ、カゴに被せ新聞が雨に濡れないようにした。
覗いてみると、幸いかな少し濡れた程度で済んだ。

気を取り直して、Tシャツ一枚で配達を続けた。
最後の一部を取ったところ、底のビニールも破けていて、新聞のおもて面がビショビショになっていた。頭は真っ白、配達する家の前で呆然とした。フウフウと息を吹きかけて乾かそうと試みたが無駄なことである。(今思えば新しいのを取りに行けばいいのに・・・)

15分くらい逡巡しただろうか。怒られるのを覚悟で家の玄関を叩いた。もう、ドキドキである・・・
横にスライドする玄関がガラガラと開いた。玄関のすぐ前が居間で、コワそうなご主人が卓に陣取り、奥さんが出てきた。

「あのう、新聞が濡れてしまって・・・」声にならない声を絞り出した。
「すみません・・・」

そしたら、奥のご主人から予想もしない言葉がかえってきた。
「大変だったなぁ。いいんだよ、とりあえずテレビ欄だけ見れれば。なぁ、母さん」「そうよねぇ、ほらテレビ欄は見れるわ」と。(本当は東北弁です)

私は深々と頭を下げ、「すみませんでした」と繰り返した。
奥さんは「風邪引かないようにね」と気遣ってくれた。

雨でズブ濡れの新聞少年を見て、濡れた新聞のことを怒る人はいない。

家路につく帰り道、顔に雨を受けながら全速で自電車をこいだ。
泣いていた。。。「人は嬉しくても泣くんだ」と知った12才になったばかりの春のことである。

アルバイトは教訓が一杯である。

n2ublog-00043 at 00:02 │Comments(1)TrackBack(0)clip!自己啓発  | 春夏秋冬

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この記事へのコメント

1. Posted by NO TRY,NO LIFE    2008年05月24日 00:11
ドバイで泣いたよ。

喧嘩してる場合じゃないね!

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